ワインショップ飛附屋・トップフランスワイン・ロワール河流域ドメーヌ・リュシアン・クロシェ

【Domaine Lucien Crochet:ドメーヌ リュシアン クロシェ】

◆歴  史
 中央山塊(マシッフ・サントラル)南東部に水源を北上し、大きな弧を描いて西に流れを変え、ブルターニュ半島の南で大西洋に注ぐフランスの大河、ロワール。「フランスの庭園」と称されるロワール地方を縫うように走る雄大な流れは全長1,000qを優に越えます。このロワールに沿って点在するブドウ栽培地区は。様々な気候条件や土壌の変化に伴うワインの表情が至って豊かな土地で、その数はロワールの古城の数に匹敵するとも言われています。河口のペイ・ナンテ地区に於けるブドウの栽培、そしてワイン醸造の歴史は既にローマ時代に始まっていましたが、ロワール河流域全体では5世紀になってから本格的に行われるようになりました。上流のサンセール地区では580年頃にブドウの栽培が行われていたことが記録に残っています。

 ロワール地方はカール・マルテルがポワティエでムーア人を撃退した732年から、ルイ14世の治世までの凡そ900年間に亘ってフランスの歴史が繰り広げられた場所です。ブドウ畑は王侯貴族、そして修道院の管理のもとに開拓され、栽培に於いては修道僧たちが重要な役割を演じました。12世紀になると、英国王ヘンリー2世がフランスの南西地方を併合した際に、アンジュー地方のワインが秘める要素に目を付けたことにより、一躍アンジュー・ワインの名が広まりました。その後、ロワールはフランス宮廷の社交場となり、ロワールで生まれたワインはますます発展の一途を辿るようになりました。

 また、フランソワ1世が後にアンボワーズ城に埋葬されることになるレオナルド・ダ・ヴィンチを宮廷に招き入れ、フランスのルネサンスを開花させ、また、ロワール河流域にあるシャトーの周辺にブドウ樹を植樹させました。1552年にはフランソワ1世が海外貿易の許可を与え、アンジューやソミュールでは一層良質のワインが生産されるようになりました。その後、17世紀に入ると日常消費できるようなワインが求められるようになり、結果としてロワール地方全域にブドウ畑が広がり、ブドウの栽培者やワインの生産者が増えていきました。19世紀に入ると一時期フィロキセラ禍によって衰退しましたが、努力の結果、1936年以降ワインの品質を保証する鍵を握る初のアペラシオンが、ナント、アンジュー、ソミュール、トゥーレーヌ、中央フランスのワインに認められました。ロワール地方はフランス第3のAOC(原産地統制呼称)ワイン産地として今日に至ります。

◆土  壌
 ロワール地方の土壌は様々です。アンジュー地区は石灰質と片岩質土壌,ソミュール地区はテュフォー/Tuffeauと呼ばれる石灰岩が主流で,住居やシャトーにも使用されており,地下道はカーヴとして利用されています。トゥーレーヌ地区は粘土及び石灰質土壌,砂,砂利が多く見られ,中央フランスのサンセールでは石灰質と泥灰土壌で構成されています。気候,そして,土壌が多彩な表情を覗かせるロワールワインを培っています。
Sancerre/サンセール
◆概  要
 ロワール河の上流、まさにフランスの“へそ”の部分に当たるのが中央フランス地区で、かつてのフランス王国の古都ブルジェを囲むようにしてブドウ畑が広がっています。粘土混じりの石灰質土壌では白ワインの生産が圧倒的に多いものの、赤、そしてロゼも生産されています。サンセールはロワール河の流れが南北に向きを変える場所(左岸)に位置し、対岸の右岸には原産地統制呼称プイィ・フュメのブドウ畑が広がっています。サンセールは標高200〜400メートルの起伏に富んだ地形で、ヴィニュロンであり、歴史作家でもあるルネ・ラポールは次のように描写しています:
ブドウは丘の上を逞しく這い上がっている。積まれた石の長い列は、代々ヴィニュロンたちが数え切れないほどの年月をかけて
 標高200〜260メートルでは石灰岩の含有量が多く、主に白ワインを醸し出すソーヴィニヨン・ブランが栽培されています。原産地統制呼称 サンセールの総生産量の僅か15%を占める赤及びロゼワインを生むピノ・ノワールは、石灰分の少ない標高100〜180メートルの場所に広がっています。現在、原産地統制呼称 サンセールに指定されているコミューンは全部で15、サンセール/Sancerre、ヴェルディニィ/Verdigny、ビュエ/Bue、メネトレオル・ス・サンセール/Menetreol-sous-Sancerre、クレザンシィ・アン・サンセール/Crezancy-en-Sancerre、ヴィノン/Vinon、ヴォーグ/Vaugues等の名を挙げることができます。ここでは11世紀頃よりワインの生産が盛んに行われ、更に修道僧やサンセール伯爵の援助により大きく発展しました。白ワインで有名なサンセールですが、19世紀の大作家バルザックはサンセールの赤を香り豊か と評しました。また、白に就いては,ブルゴーニュ産の白ワインと見紛うほどであった・・・と述べています。
Domaine Lucien Crochet/サンセールを代表する醸造家,リュシアン・クロシェ
◆概  要
 サンセールを代表する醸造家、リュシアン・クロシェ家はビュエ/Bueに本拠を置き、200年、5世代に亘って代々ワインを醸造してきました。今日では、ビュエ、サンセール/Sancerre、クレザンシィ/Crezancy、ヴィノン/Vinon等の優良なコミューンに35ヘクタールのブドウ畑を所有し、当主リュシアンと彼の息子でドメーヌの醸造責任者を務めるジルが手を携え、ブドウを栽培、ワインを醸造しています。ジルはボーヌにある大学で醸造学を学び、ブルゴーニュのモレィ・サン・ドゥニのドメーヌ(ドメーヌ・デュジャック)で研修した後、家業を継ぎました。

 ドメーヌが生み出すサンセールのスタイルは至って現代的です。フレッシュ&フルーティーなワインを産むことで知られ、立地条件に恵まれた畑を所有していることはもとより、ブドウの成熟状況を見計らい、さらに慎重に収穫は全て手摘みで行い、同時に選果作業にも厳しい姿勢で臨んでいます。代々伝えられる醸造技術に加え、近年近代的な設備を整え、品質を重視したワイン造りに拘っています。ワインの醸造技術を向上させることは大事ですが、質の良いブドウを栽培し、さらにブドウの質を見極めることが、すなわち良いワインを産むことに繋がると考えています。畑で良い仕事を行い、良いブドウを育む姿に、本来あるべきヴィニュロンの姿勢を伺うことができます。

◆醸  造
 ・
白ワイン及びロゼワイン
  収穫したブドウは直ちに空気圧を利用した圧搾機にて圧搾します。ヴィンテージとキュヴェに拠って異なりますが、18〜48時間かけて低温度で澱下げ(デブルバージュ:沈殿物を分離すること)を行い、次に温度調節機能を備えたステンレス製のタンクにて20〜50日間かけて発酵を行います。澱下げし、軽くフィルターにかけたワインは7〜9月にかけてボトリングされます。(コラージュ/清澄及びフィルターにかけるのは6月、或いは9月)

 ・
赤ワイン
  収穫したブドウのうち、80%を除梗(*)します。発酵期間は15〜20日間で、50%が新樽、40%は1年樽、残りの10%はタンクで行います。新樽はアリエ産のものとベルトランジェ産の2種類の樽で、16〜18ヶ月間寝かせたキュヴェをアッサンブラージュ(ブレンド)し、清澄、及び軽くフィルターにかけた後、さらにアッサンブラージュされます。
*ヴィンテージ1990以前は除梗せずに醸造されたキュヴェがある。(例:1989 サンセール“キュヴェ・プレスティージュ”)





2017 Sancerre Blanc

サンセール ブラン 750ml  
《白》【辛口】 生産者:ドメーヌ リュシアン クロシェ
葡萄品種:ソーヴィニオン・ブラン

ビュエ村の畑で収穫されたソーヴィニヨン・ブランを使用。
植機比率は
68008800/ha
収穫は手摘みで,空気圧を利用した圧搾機を用いて圧搾し,温度調節機能を備えたステンレス製タンクで発酵を行う。
透明感のあるレモン・イエローのローブと,フローラルな香り,そしてフレッシュで酸味に富んだ味わい。
サーヴィス温度は
810度。




          4,620円(本体価格4,200円)  


ごめんなさい、只今品切れ中(2022年11月4日)です。次回入荷まで今しばらくお待ち下さいませ。







2016 Sancerre Le Chène Marchand
サンセール“ル・シェーヌ・マルシャン” 750ml  
《白》【辛口】 生産者:ドメーヌ リュシアン クロシェ
葡萄品種:ソーヴィニオン・ブラン

南向きの“カイヨット”と呼ばれる小石混じりの石灰質土壌で栽培されたソーヴィニヨン・ブランを用いて造られます。
収穫は手摘みで、空気圧を利用した圧搾機で圧搾、ステンレス製タンクで発酵を行い、澱と接触させたまま熟成させています。
透明感のあるグリーンのニュアンスを伴うゴールドのローブを纏い、アンズや水仙、ミネラル香、さらにはオレンジやグレープフルーツなど柑橘系の香りに富んでいます。
力強さのなかに繊細な雰囲気を持つ、余韻の長いワインで、深みのある味わいが印象的な辛口です。
 マスのソテーやアスパラガスのオランデーズ・ソース添えに合わせて。サーヴィス温度は9〜11度。

〜この2009年物は、2010年8月号のワイン・アドヴォケイトで89−90+点を獲得〜
「印象的の明晰で、爽快で軽やかな口中。結晶や食塩、石灰やミネラルのニュアンスだけでなく、様々な花のノートが、ライム、マンダリン、マスク・メロン、グレープフルーツなどの風味を通して垣間見れる。
この豊満で濃縮した味わいは、柑橘類の刺激的でピリッとする風味とともにフィニッシュを迎える。」

                          6,050円(本体価格5,500円)

ワイン・アドヴォケイト190号(2010年8月号)掲載のコメント
2009サンセール・ル・シェーヌ 89-90+点
ミントや多様な花の香りを備えたクロシェのサンセール・ル・シェーヌ2009は,印象的に明晰で,爽快で軽やかな口中。
結晶や食塩,石灰やミネラルのニュアンスだけでなく,様々な花のノートが,ライム,マンダリン,マスク・メロン,グレープフルーツなどの風味を通して垣間見れる。
この豊満で濃縮した味わいは,柑橘類の刺激的でピリッとする風味とともにフィニッシュを迎える。
アルコールは14.8度だが,ビターな風味を前面に押し出すアルコールではなく,温かいニュアンスが感じられる。
Fごめんんあさい、只今品切れ中(2023年2月12日)です。次回入荷まで今しばらくお待ち下さいませ。





2003 Sancerre Cuvée Prestige Lucien Croche

サンセール キュヴェ プレステージュ リュシアン クロシェ 750ml  
《白》【辛口】 生産者:ドメーヌ リュシアン クロシェ
葡萄品種:ソーヴィニオン・ブラン

非常にかぐわしく爽やかな白。ロワ-ル河対岸のプイィ=フュメとほとんど見分けがつかない。上位のものは、5年以上かけて熟成しうる。
ヒュ-・ジョンソン「ポケットワインブック」 なお、上位の栽培業者の中にリュシアン・クロッシェの名前があげられています。

このキュヴェは、ブドウの作柄が良い年に限りリリースされます。使用するブドウはドメーヌのなかでも最も古いヴィエイユ・ヴィーニュのもので、小石混じり及びキンメリッジ階土壌で栽培されています。
手摘みで丁寧に収穫されたブドウは空気圧を利用した圧搾機で圧搾され、温度調節機能を備えたステンレス製タンクで発酵が行われます。
華やかで繊細、深く、複雑みを帯びたフローラルな香りと、構成の取れた味わいで、余韻が長いもの。非常にバランスが良く、偉大なワインに相応しい風格を湛えています。
サーモンやスズキ、或いは、カレイ等の魚料理に良く合う。サーヴィス温度は10〜11度。

『ル・クラスマン/Classement des Meilleurs Vins de France 2003』 7,5/10ポイント(2000ヴィンテージ)

                                     10,450円(本体価格9,500円)







2006 Sancerre Vendange du 10 Octobre

サンセール “ヴァンダンジュ・デュ・10/オクトーブル” 750ml 
《白》【辛口】 生産者:ドメーヌ リュシアン クロシェ
葡萄品種:ソーヴィニオン・ブラン

2006年10月10日に手摘みで収穫した葡萄を、直接圧搾し、1/3はバリックの新樽100%で、2/3はステンレスタンクで発酵を行う。
発酵は14〜17度の低温で、30日間の長期間に亘って行う。その後、引き続き1/3はバリックの新樽100%で、2/3はステンレスタンクでシュール・リーの状態で熟成を行う。12ヶ月の熟成後、2008年1月に瓶詰め。
濃いゴールドのローブ、熟れた果実を思わせる濃厚な香りを持ち、味わいは率直且つ芳醇。バランスの取れたワインで、余韻が非常に長いのが印象的。
アペリティフに、或いはフォア・グラやオマール、トリュフ添えの鶏肉のベッシー(膀胱で包んだ料理)、肥鶏のモリーユ茸添え、クリーム・ソースでいただく白身肉のお料理にあわせると抜群。

■ワイン・アドヴォケイト190号(2010年8月号)掲載のコメント
サンセール“ヴァンダンジュ・デュ・ディス・オクトーブル2006” 90点
複数の古樹の区画(そのうちの1つは鉄分に富む)と,樽とタンクを併用した醸造に由来するクロシェの2006ヴァンダンジュ・デュ・10・オクトーブルは,特別に瓶詰めされるキュヴェだ。過熟した洋梨やアカシア,退廃的なユリ,パイナップル,グレープフルーツ,レッド・ベリー,木や煙などの香りが,グリセリン豊かで,微かな甘みを備えた口中に,胡椒やセージ,そして刺激的な柑橘類の皮や赤スグリを思わせる対照的な風味とともに誘う。このグリップと刺すようなアタックは,古生代の岩石土壌に由来する強烈なグリューナー・ヴェルトリーナーを連想させる。残糖分は,実際,法的にはギリギリのレベルだが,15.4度のアルコール度数によって,甘さを感じさせるワインのニュアンスが説明できる。クロシェ自身がこのワインの香りがコンドリューと類似していることを指摘して以来,私は政治学的にも地質学的にもオーストリアを不適切に暗示したとは感じていない。必然的に,このワインにはいくらかの温かさがある。しかし,舞台を台無しにしてはいない。あと数年はこのワインの魅力を想像することができる。


                    10,260円(本体価格9,500円)
ごめんなさい、只今品切れ中(2019年4月28日)です。次回入荷まで今しばらくお待ちくださいませ。





2005 Sancerre Le Grand Chemarin(AOC)
サンセール“ル・グラン・シュマラン” 750ml  
《赤》【ミディアムボディ】生産者:ドメーヌ リュシアン クロシェ
葡萄品種:ピノ・ノワール

小石混じりの土壌で栽培されたピノ・ノワールを用いて醸造。収穫したブドウのうち、80%に就いては除梗を行っています。
発酵期間は15日間で、20%はオークを、残りの80%はステンレス製タンクにて16ヶ月間に亘り熟成させています。
レッド・フルーツ、キルシュの香りが際立つ、バランスの良い赤です。
野禽類,あるいはソースを使った白身の肉料理に最適です。サーヴィス温度は12度。



              5,170円(本体価格4,700円)

ごめんなさい、只今品切れ中(2023年9月15日)です。次回入荷まで今しばらくお待ち下さいませ。









2006
 Sancerre Cuvée Prestige Lucien Croche
サンセール キュヴェ プレステージュ リュシアン クロシェ 750ml  
《赤》【フルボディ】 生産者:ドメーヌ リュシアン クロシェ
葡萄品種:ピノ・ノワール


「赤のキュヴェ・プレスティージュはコート・ド・ボーヌの最上のキュヴェに匹敵!」

サンセールを代表する造り手リュシアン・クロシェは,何と言っても白ワインで有名だが,
実は,良作年に限り,ドメーヌ最古のピノ・ノワールから極少量のみ造られる,とっておきの赤のキュヴェ・プレスティージュが存在する。
サンセールの赤と言えば珍しいだけのロゼのようなものが多い中,
このクロシェのキュヴェ・プレスティージュは,完熟したピノ・ノワールによる深い色調と濃縮感のあるしっかりとした口当り,
そしてイチゴやチェリーのジャムを思わせる豊かな芳香性を併せ持った最高の赤ワインである。
滑らかな熟成感をたたえたこのサンセールは,ブルゴーニュ好きをも唸らせる出色の出来で,まさにクロシェ・マジックと言えるほどの芸術的作品となっている。
事実,当主リュシアンの息子で現在ドメーヌの醸造責任者を務めるジルは,
ディジョン大学醸造学部を卒業後,ドメーヌ・デュジャックで研修したこともあって,
両者のワインには肌理の細かいタンニン抽出という共通性が感じられることが多くの評論家によって指摘されている。
白のキュヴェ・プレスティージュ同様,ドメーヌの中で最も古いヴィエイユ・ヴィーニュのピノ・ノワール(平均樹齢
55年)を用い,作柄の良い年に限り醸造される赤ワイン。

葡萄が栽培されている畑の土壌は,カイヨットとキンメリッジ階の泥灰土壌。
手摘みで収穫した葡萄を畑で選果した後,醸造所の選果台でさらに厳選。
7日間の低温マセレーションを実施した後,
温度調整管理の元
7日間発酵。14日間マセラシオンを実施。定期的にルモンタージュとピジャージュを実施。
バリック
100%(新樽40%1年樽40%2年樽20%)で熟成を行う。22ヶ月間の熟成後,瓶詰め。

深いルビーレッドのローブと青色の反射。スグリやブルーベリーなどのブラック・フルーツのコンフィ思わせるような香りが顕著。
アタックは力強く,マティエールと粘性があるふくよかな味わい。
タンニンは顕著だが大変しなやか。赤身の肉料理(ロースト)や雉やしゃこ等の猟鳥や鹿のフィレ肉の料理に最適。
サーヴィス温度は
1415


             10,010円(本体価格9,100円)

ごめんなさい、只今品切れ中(2020年6月26日)です。次回入荷まで今しばらくお待ち下さいませ。

『ル・クラスマン/CLASSEMENT DES MEILLEURS VINS DE FRANCE 2003』より

リュシアン・クロシェは長い間サンセール・ワインの指標でした。息子のジルにドメーヌが手掛けるワインの醸造の責任を委ねてからというもの,ドメーヌの赤ワインは飛躍的に評価が高まりました。
ドメーヌが所有する魅惑的なヴィニョーブルでの日常作業は、とりわけ手による収穫に集約されています。
シェーヌ・マルシャンは5ヘクタールの美しい区画ですが、ここで育まれたソーヴィニヨン・ブランからフィネスに満ち溢れるサンセールの白ワイン(飲み頃を迎えるには最低2年が必要とされます)が生まれます。
一方、ラ・クロワ・デュ・ロワ(弊社では取扱いなし)ではピノ・ノワールが栽培され、サンセールでも珍しい赤ワインが生まれます。
 ドメーヌはブドウを栽培しワインを醸造する一方、ネゴシアンとしても実力を発揮しています。 

【補足:リュシアン・クロシェ ヴィンテージ概要】
2001ヴィンテージ
 2001年は、典型的なアペラシオンの特徴が表現されているヴィンテージです。複雑で豊満なアロマによって、テロワールの個性が特に際立っています。

 白ワイン:
美しいアロマと果実味(白い果肉の果物)、ミネラル分、グレープフルーツ、カシスといったバラエティーで、変化に富んだニュアンスが現れています。最初の数ヶ月はワインが生き生きした印象が顕著ですが、数ヶ月の熟成を経て、最上の表現へと成熟するワインの証と言えましょう。白ワインは時とともに進化していきます。

 赤ワイン:
とりわけチェリーや赤スグリを思わせるような香りの特徴を示す凝縮した色合いとともに、素晴しい品質を備えています。醸しの時間が長かった分、タンニン分に顕著に感じられます。


2002ヴィンテージ
 高い糖度と、上品な酸を持つブドウ果によって、2002ヴィンテージのワインは力強い骨格を備えています。

 白ワイン:
ワインは既に口中を心地良く満たし、数時間後には、とりわけ桃や胡椒がかったミントを思わせる心地よい香りを発散してくれます。濃厚さと力強さ、そしてフィネスがうまく調和しています。アロマはテロワールに結びついた多種多様な香りとともに、エレガントで複雑に表現されています。まだ、少し閉じていますが、素晴しく進化するであろう前兆を示しています。口中は濃厚で豊満です。ピークで味わうには、8-12ヶ月間ほど持つ必要があるでしょう。

 赤ワイン:
際立ったスミレのニュアンスとともに、はっきりとした色調。タンニンは濃密でバランスが取れています。香りは次第に開いていき、格別にフルーティーなノートが現れます。それぞれのキュヴェに応じて異なりますが、長命性は良好、若しくは傑出しているといえます。

「2010年版ル・グラン・ギド・デ・ヴァン・ド・フランスLe Grand Guide des Vins de France」掲載のコメント

ベリー地方(サンセールがある地方)のジル・クロシェは、赤ワインのタンニンの繊細さにおいて、これほどのエレガンスのレベルに至り、ブルゴーニュにおけるクリストフ・ルーミエと断言できる。小石の多いテロワールに由来する白のル・シェーヌ・マルシャンは、フルーィーさと、上品な花のようなアクセントを与えてくれる。心地良く魅力的に凝縮した白のキュヴェ・プレスティージュは、最も古い葡萄樹の葡萄のアッサンブラージュに由来している。このワインは開花するまでに最低3年を要する。10月中旬に、過熟した状態の葡萄を遅摘みしたキュヴェは、エキゾチックなフレッシュさと柔らかさを与えてくれる。ドメーヌで行った7回の試飲の全てでドメーヌが素晴らしい状態にあることが確認できた。

2005サンセール“キュヴェ・プレスティ−ジュ”赤 17/20点
サンセールでは他では見られない唯一無二の甘美でキメのあるタンニンがある。スタイリッシュなエレガントさと心地良い凝縮感。ロワールにおける全てのピノ・ノワールの模範的なモデルである。

2005サンセール“キュヴェ・プレスティ−ジュ”白 16/20点
トリュフ風味の帆立貝の料理に合うこのワインの成熟度と、ナイフのような鋭さは高く評価できる。

2008サンセール“シェーヌ・マルシャン”白 16/20点
マンゴーのアクセントとともに非常に将来有望なワイン。柔らかな口中。

2007サンセール“シェーヌ・マルシャン”白 16/20点
ミネラルのタッチとともに黄色い果物の香り。口中はエレガントで、柑橘類の風味に引き立てられている。

サンセール“ヴァンダンジュ・デュ・19・オクトーブル・2006 白 16/20点
このヴァンダンジュ・タルディーヴのキュヴェは、マンゴーの香りやエキゾチックなアタックと風味を持ち、特に、何度もグラスを重ねたくなる、新鮮な余韻とともに、大変な成功作である。

*「ル・グラン・ギド・デ・ヴァン・ド・フランス」は、フランスのワイン評論家ミシェル・ベタンヌとティエリー・デソーヴが2007年秋から新たに刊行し始めたワインガイド。2人は2005年版まで、著名なワインガイドの「ル・クラスマン」の編集・執筆総責任者であったが、2006年版からはその職を離れていた。その2人が3年のブランクを置いて、新たに創設したガイドがこのワインガイド。